GW 六日目
GW六日目。長かった連休も今日で終わりだ。
今日は渋谷でくんとモルガナちゃんと三人でのんびり買い物デーだ。服や日用品を買い足して、わたしたちは帰路についた。
「、お腹大丈夫?」
「ありがとう、もう平気だよ」
「よかった。じゃあどこか寄る?」
くんの問いかけにわたしは大きくうなずいた。わたしたちがデートの帰りに行く先といえば、もちろん。
「佐倉さん、こんにちは」
「おう、お前らか。いらっしゃい」
くんとともにやってきたのはルブランだ。わたしたちがのんびり過ごすのならやはりここ。
「連休、どっか行ってきたの?」
カウンター席に座ると、佐倉さんがお冷やをくれる。それを受け取りながら、わたしは連休中の思い出を語った。
「最初は水族館に行って、あ、遊園地も行きました。それから夜中までゲームしたり」
「おうおう、若いねえ」
「あとイルミネーション見に行ったな」
「おい、お前は思い出話はじゃなくてこっちだろ」
佐倉さんはくいと親指で示してくんにカウンター内に入るよう促した。くんはここではお客さんではないのだ。
「くん、いつもありがとう」
「ん、ちょっと待ってて」
くんがコーヒーを淹れる準備をするのを見て、わたした期待で体を揺らした。くんのコーヒーはいつもおいしいけれど、ルブランで淹れてもらうコーヒーはいつものよりもより一層おいしいのだ。
「楽しかったようでなによりだ」
「ニャッ」
「猫も行ったのか?」
「全部じゃないですけど」
「うにゃ~」
モルガナちゃんはわたしの隣の席で佐倉さんに向かって鳴いている。佐倉さんもわたしと同じくモルガナちゃんの言葉はわからないけれど、きっとなんとなくわかっている。それもわたしと同じ。
「コーヒーできた。はい、」
「ありがとう、あ……」
くんからカップを受け取ると、その中身がいつもと違うことに気づいた。いつものカフェオレとは違う、生クリームの乗った甘やかなコーヒー。
「ウィンナーコーヒー。連休だからスペシャル」
「わあ……ありがとう」
さっそくコーヒーを一口飲んだ。酸味が強めのコーヒーと、甘い生クリームが混じり合って優しい味が広がった。
「くんのは?」
わたしの分を淹れ終えたくんは自分の分のコーヒーを淹れているようだ。いつもブラックだけれど、自分の分も連休スペシャルなのかな。
「俺のはいつもの」
「いやお前、それ高ぇ豆じゃねえか」
「バレたか」
佐倉さんの指摘に、くんはふいと視線を逸らした。しかし、しっかりとコーヒーには口をつけている。
「まったく……今日だけだぞ」
「了解」
「にゃう~!」
「猫もなんかスペシャルほしいってか?」
カウンターを前足でべしべしと叩くモルガナちゃんに対して、佐倉さんが笑顔を見せる。そのままコンロの方へ向かうと、お皿を一枚持ってきた。
「お肉?」
「ニャウッ!」
「余りもんだけどな」
「にゃ~!」
佐倉さんが持ってきてくれたのはおそらくカレーのお肉だろう。モルガナちゃんはニコニコしながらお皿の上のお肉にかぶりつく。幸せそうな横顔を見ていると、わたしも温かな気持ちになってくる。
「いいゴールデンウィークだったな」
「ね! 次はどこ行く?」
「お前らもう次の話か? 気が早いねえ」
「行きたいところ、いっぱいあるから」
くんの言葉にわたしもうなずいた。
ねえ、次はどこへ行こうか。