GW 五日目
GW五日目、今日はくんと動物園に行く予定……だったのだけれど。
「おなか痛い……」
まさかの生理痛で、ソファの上でわたしはうずくまっている。いつもはこんなに痛くないのに、どうして今月に限って……。しかも普段は痛くないので、痛み止めも持っていない。しばらくこの痛みに耐えなくては……。
「、大丈夫?」
うなっていると、出かけていたくんがソファの上からのぞき込んできた。買い物から帰ってきたようだ。
「くん、おかえり」
「ただいま」
「でもだいじょうぶじゃない……」
自分でもなにが「でも」なんだろうと思いつつ、出てきた言葉がそれだった。
「これ掛けて」
くんはわたしにタオルケットを かけてくれる。わたしは受け取ったそれでお腹を温めながら再びうずくまった。
「薬も買ってきた」
「わ、ありがとう!」
「どれがいいかわからないから店員に聞いたけど、これでいい?」
「うん、大丈夫」
やっとこれで痛みが取れる。わたしも普段必要としていないから詳しくないけれど、くんが買ってきてくれたものは友人も使っているごく一般的な鎮痛剤だ。早速薬を一錠水で流し込む。
「温かいものでも飲む?」
「うん……じゃあ牛乳飲みたいな」
「わかった」
くんはわたしの前髪を撫でると、キッチンへ向かった。あ、また痛くなってきた。早く薬よ効いてくれ。うう、どうしてよりによってこの連休にこんなに痛くなるのだろう。
「にゃあ」
モルガナちゃんが小さく鳴いて、ソファの上に飛び乗った。そしてわたしのお腹のあたりで小さく丸まる。
「お腹、暖めてくれてるの?」
「にゃ~」
「ありがとう」
額のあたりを撫でると、モルガナちゃんは「うにゃ」と気持ちよさそうに鳴いた。モルガナちゃんの温もりがお腹に巻いたタオルケット越しに伝わってくる。
「、できたよ」
「ありがとう、くん」
くんがいつものマグカップにホットミルクを入れて持ってきてくれた。そっとカップに口をつけると、優しい味が口の中に広がった。
「くん、ごめんね」
「ん?」
「今日、動物園行くはずだったのに」
連休五日目の今日は、くんと一緒に動物園 に行くはずだった。パンダを見て、コビトカバを見て、ニホンザルを見て、モルモットを抱っこするはずだったのに。
「いいって。大丈夫」
「でも」
「またいつでも行けばいい」
くんはくしゃりとわたしの頭を撫でた。大きな手で心地いい。
「……うん、そうだね。……いたた」
あ、また痛くなってきた。お腹を押さえて前屈みになると、くんはわたしの手からマグカップを取った。
「よしよし」
「うーん……」
ソファの上にごろんと寝転がる。うう、どうして今月はこんなに……。
「まだ薬効かない?」
「さすがにまだだね……」
「落ち着いたら映画でも見ようか」
「うん」
ソファに座るくんの膝に自分の頭を乗せた。「固くない?」と聞かれたから首を横に振った。
「今日は甘えていい?」
具合が悪いと不安になる、心細くなる。くんのシャツを握って、おそるおそるそう聞いた。
「今日だけじゃなく、いつでもどうぞ」
くんはいつもみたいな妖しい笑みを浮かべて、わたしの髪にキスをする。
わたしはぎゅっとタオルケットに顔を埋めた。